文◉げいまきまき
コミュニティセンターdistaスタッフ。元セックスワーカー。
写真は2018年国際エイズ会議会場で。コンドーム所持がセックスワーカー逮捕の理由になる国のワーカーによる抗議の意味を込めたパフォーマンスの中で。
コロナ流行下「ヤる!プロ」で作成した
「新しい性活様式あいうえお + 四十八手ポストカード」を紹介します。
ヤる!プロジェクトの略称です。安心して暮らせるコミュニティを作り、楽しくつながれるセックスライフを応援するために、より身近に情報とコンドームやローションを届けることを目的として実施しているプロジェクトです。
これまでも適したコンドームサイズを知る為のコンドームメジャーや思わず手に取りたくなるイラストカバーのコンドームや、ハッテン場で便利なポーチ等、エロと安心に繋がるグッズを企画、作成して参りました。
性感染症予防やコロナ予防に関する関心や優先すること、行動として可能なことetc…は一人一人に違いがあります。一人の中でも状況や相手によって変わることもあります。
全員に当てはめることが出来る「感染症予防はこう考えればOK」という価値観の一致は一般的な暮らしの中では持ちようがありません。
でも「こういう選択肢がある」と知ることや「これならやれそう」という行動の可能性を増やせば、自分の暮らしや状況の中で使いやすくなりそうです。いかがでしょうか?
そんなわけで「机上の空論じゃないものを投げかけたい」と始まった四十八手企画。
四十八手なら体位、つまり体の位置と距離が見えるのはアレンジ可能で具体的(致命的な危険が伴いそうな体位は外しました)。
体位の名前も風流です。トライアスロンしながら俳句を読むような文武両道ぶりです。
因みに組体操の技名と混合しがちなので体育教師の方はご注意くださいませ(筆者の高校時代の思い出より)。
人形にしたのは、生々しさから少し距離を置くことで情報が受け取りやすくなる作用を考えたのと、電車や外でスマホ等で思いがけず目にしても焦らず済む感じを狙いましたがいかがでしょうか?
セックスを楽しむことと健康や安全の両立は可能だし、可能にする取組は〇か一〇〇ではないということを、手にしてくれた人ともやりとりが出来たらいいなあと。そんな呼びかけのような心持ちで作りました。
「換気」「手洗い」「コンドーム」「顔の位置、距離」「コミュニケーション」を念頭におきました。これはだめとかやらなきゃというより寧ろお楽しみポイントとして提案したいのです。
お互いに手を洗ってあげるのは大変エロティックですし、換気中に声を我慢させるというのも技の活かし処です。体調に不安がある時に正直に言えると口淫中に嘔吐でベッドが惨劇という事態も防げます(筆者のフーゾク嬢時代の思い出より)。
因みに「な行」から向こうがまだ作れていません。ご一緒に提案いただく企画もしてみたいような気がします。いかがでしょうか?
SNS等で個人が思うことを発信しやすい時代になった為、それぞれの違いの可視化も進んでいます。コロナのニュースを巡っても違いは否定や排除に繋がりやすい一面として炙り出されています。
感染もセックスも他人が関わるからこそ違いへの距離の取り方、態度の表し方が難しい場合はありますよね。でも人の選択には文字や瞬間だけでは判断が出来ない経緯もあります。
コロナの流行によって、私たちもコミュニティとは何か?情報の届け方等を再度探る日々です。
新しい状況に私たちも翻弄されながらも、今までのコミュニティ、まだ出会っていないネットワーク、そこに存在する人と共に様々な方向での「ヤる!」を模索していきたいと思います。
今後とも楽しくやらしくよろしくお願いします。
コミュニティセンターdistaスタッフ。元セックスワーカー。
写真は2018年国際エイズ会議会場で。コンドーム所持がセックスワーカー逮捕の理由になる国のワーカーによる抗議の意味を込めたパフォーマンスの中で。