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南界堂通信〈秋号|第44号〉

エイズ対策のキーパーソンたち

若き力で挑む、
新たな医療体験への挑戦

いだてんクリニック 吉田先生・石内先生 いだてんクリニック 吉田先生・石内先生
いだてんクリニック

JR天満駅・大阪メトロ堺筋線扇町駅から徒歩1分の『いだてんクリニック』。
いま注目のクリニックで働く二人の医師、吉田先生(写真右)と石内先生(写真左)にお話を伺いました。

MASH大阪(以下M):これまでにない医療サービスを提供しておられると聞いていますが、ずばり、『いだてんクリニック』の特徴は?

吉田(以下、吉)「いつでも、どこでも、待たずに」がキーワードです。「いつでも」というのは通常のクリニックや病院が空いていない、夜間診療と土日診療を中心に診療を行なっています。「どこでも」は、オンライン診療と対面診療を並行して行なっており、通常の内科の電話診療だけでなくHIV緊急予防薬であるPEPの電話診療・配送を行なっています。「待たずに」は、予約・問診・会計システムを駆使して待ち時間をなるべく短くしています。会計システムは当院独自で開発しました。

M:夜間・土日診療をやるようになったきっかけは?

石内(以下、石):当院の位置する大阪市北区は、大阪府の中で比較的クリニックの多い地域です。しかし、特に土日祝日の夜間はクリニックの0.2%しかあいていません。CTやMRIなど高度な画像検査や手術が必要なくても、「医療」を受けること自体が難しく、多くの方が困っています。『いだてん』では、「医療」がいつでも気軽に受けることができるよう、火曜日~土曜日の診療時間を14時~21時半、日曜日・祝日は9時~17時に診療を行なっています。ゴールデンウィークも全日開けましたし、お盆休みも、正月も受診が可能です。

M:オンライン診療に関しては、どんなことをやっているのでしょうか?

:当院では、保険診療・自由診療いずれもオンライン診療を行なっています。薬剤配送サービスを組み合わせて、自宅だけでなく職場などでも薬を受け取れるようなシステム整備を行なっています。長崎にいた頃、離島に行くと医療そのものが提供されていないことを間近で見て、なんとかしたいと思っていました。オンライン診療と薬剤配送サービスを提供することで「どこでも」医療を提供していこうと考えています。

M:「待たずに」というキーワードについてですが、『いだてん』では、待ち時間を減らすのにどのような工夫をされているのでしょうか?

:診察前の、「予約」「問診」、診察後の「会計」「処方」をできるだけ待たずにする工夫をしています。事前予約を行なっていただき、問診票を記入していただくことで、個人情報を事前にカルテに取り込めるため、すぐに診察が可能です。会計も事前にクレジットカードの登録を行なっていただくことで、当日の会計を省くことができますし、薬剤配送であれば処方箋を薬局に持っていく必要がありません。医師の診察だけでなく、予約から処方までを1つの医療体験として捉え、より良い医療体験をしていただけるようにシステム開発なども行なっています。

いだてんクリニック内観

M:ウーム、シンプルかつ洗練されたシステムを自分たちで構築されているのですね…どうしてこのようなことが可能なのでしょうか。

:当院は一般社団法人が母体である診療施設という点が重要だと思います。診察行為だけでなく、医療体験を良くするには医療従事者とシステムエンジニア・デザイナー・マーケターなどたくさんの人達と一緒に医療について考えていく必要があります。私たちの組織が診療そのものを目的とする個人クリニックや医療法人ではなく一般社団法人のかたちをとっているのも、こうした協働をやりやすくするためです。

M:なるほど、よくわかりました。最後に、性感染症外来について、その特徴はどういうところにありますか?

:HIV・梅毒・B型肝炎・淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・ウレアプラズマなどの性病検査のほか、大阪では極めてまれな肛門検査を実施しています。PrEP(リスク行為前に服用するHIV予防薬)やPEP(リスク行為後72時間以内に服用するHIV緊急予防薬)が常時処方可能で、PEPに関しては西日本を中心にオンライン診療・配送も行なっています。HIV陽性の方向けにHIV抜きの性感染症メニューがあるのも特徴です。当院は、どんな方でも番号でお呼びし、お会計も画面に表示するため、科に関わらず個人情報や診療内容など他に誰にも知られることはありません。診察室も防音対策を完備しています。

:性の悩みを誰にも打ち明けられず、悩んでいる方が毎日多く来院されます。これまでの暗い印象の性感染症外来とは違い、明るい雰囲気の性感染症外来を目指しています。スタッフも明るくはつらつとしていて、びっくりされる方が多いです。

M:まさに性感染症診療とHIV予防の新しい波、ニューウェーブですね。興味深いお話、ありがとうございました。

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