追っかけエイズ
第37回 日本エイズ学会レポート
コミュニティセンターdistaのお転婆スタッフ、げいまきまきです。
今年は12月3日〜5日に京都で開催!
京都は90年代にエイズの市民活動が盛んで第1回エイズ学会開催地の歴史もある感慨深い土地です。
私の年齢は南界堂世代ドンピシャながら、この分野に関わり始めたのは2010年代という経験歴だけはZ世代ですので学会では教わることがいっぱいです。
さて今年の学会はPrEP(※1)の演題が増えていました。服薬人口が増えている分、新たな課題も実感しました。例えば服薬前や服薬中にも検査が必要なこと、個人の特性によっては定期的な服薬が難しい場合があることなど。服薬する個人の生活に寄り添ったフォローの環境づくりが必須となることでしょう。
医療職、福祉職におけるHIV感染者の受け入れを躊躇する場合があることを改善する取組みも発表されていました。U=U(※2)等正しい情報を知ることで意識改善に繋がることは希望であり大阪でも今以上に力を入れて取り組めたらいいなと思いました。
その他にも依存症やメンタルヘルスなど、様々な生活側面への視点を絡めた取組みの拡がりがわかる充実ぶりでした。MASH大阪のメンバーもHIV検査や予防指針のシンポジウム、ブース出展などで活躍しました。
嬉しいニュースも! MASH大阪やdistaで特にトランスジェンダーやセックスワーカー向けのセクシュアルヘルス向上の活動に取り組んできた宮田りりぃさんが若手の研究者対象の「ECC山口メモリアルエイズ研究奨励賞」を受賞しました。コミュニティのワーカー且つトランスジェンダーやセックスワーカーへの取組みとしては久々の受賞だったことも特筆すべきことです。トランスジェンダーをテーマにした演題も増える中、この受賞が今後の取組みの追い風になるよう期待します。学会というとかしこまった光景が想像されがちですが、エイズ学会は当事者やコミュニティで働く人たちが全国から集まり、交流も計られるアットホームさもある学会なのです。
別会場で市民向けのフォーラムについても今号の別枠で紹介がありますのでそちらもぜひ!HIVについて40年間の医療、コミュニティ、カルチャー、社会でどのようなに話題になったかを網羅した年表も圧巻でした(WEB公開も準備中)。
治療方法の進化と同時にHIV罹患者と共にあれる社会への働きかけも進化できるよう取組みを今後もがんばろうと思えた3日間でした。
性交渉する前から抗HIVの薬を内服し、HIV感染のリスクを減らすというHIVの予防方法
抗HIV療法を継続し血中のウイルス量を一定以下に維持している状態のHIV陽性者は性行為を通じてHIV感染させることはないということをわかりやすく伝えるメッセージ。
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