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南界堂通信〈春号|第22号〉

時事ネタWATCH ─ 中高年MSMと暮らし ─

31年目のエイズ学会 ゲイが学会長+中野区役所にレッドリボンが!
2017年11月24日~26日、東京・中野で
第31回日本エイズ学会学術集会・総会が開かれました。

1987年以来30年以上にわたり開かれてきたこの学会は、「学会」と言いつつ、医師や医療関係職だけでなく、社会系の研究者やHIV/エイズの予防活動に取り組む団体・活動家も参加してきた交流の場でもあります。プログラムは、「臨床/基礎/社会」の3部門から成り、例えば「HIV-1コア(キャプシドコア)崩壊プロセスおよびHIV-1複合体コア(核)移行プロセスのさらなる展望」といったおそらく一般人が聴いてもチンプンカンな?(笑)演題から、「患者の悩みを聞き出すコツ」といった素人もわかる演題まで様々です。

今回は、陽性者支援に取り組むNPO「ぷれいす東京」の生島嗣さんが学会長を務めました。生島さんは、オープンなゲイであり、そうした方が学会長を務めるのは初めての事です。

中野区も協力して、区役所の前面に大きなレッドリボンが出現。JR中野駅にも大きなレッドリボンの垂れ幕が貼られました。

中野区役所

シンポジウム「スティグマの払拭は誰が担うのか」は、生島さんと高久陽介さん(日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス)が座長で、「HIV陽性者の被差別不安感、毎年の新規陽性判明者数が1500名で、この内エイズ患者が3割というエイズ対策の停滞感と、いつまでもスティグマ(烙印)が払拭されない問題は、はたして無関係だろうか?」と問う企画でした。

薬害エイズ裁判の原告で現在参議院議員の川田龍平さんからの事件の振り返り、井上洋士さん(放送大学)の調査報告、厚生労働省のエイズ対策室の原澤朋史さんからのエイズ予防指針の解説、東優子さん(大阪府立大学)からはエイズ対策へ当事者が参加する事の重要性・・・と盛り沢山の内容で、当MASH大阪の塩野徳史さん(大阪青山大学)も、HIV検査の受検を困難にさせる要因としてスティグマがどうかかわっているのか、エイズとセクシュアリティのスティグマの二重性にも言及して報告。会場は満員でした。

他に聴いた分科会としては、「陽性者支援」のセッションで、「刑事事件等による身柄拘束者および受刑者に対するソーシャルサポートの一考察」は、「ぷれいす東京」が行ってきた支援活動の報告でしたが、長期受刑者への連絡が困難等の状況の報告に考えさせられました。社会学者の大島岳さんの「HIV陽性者当事者研究」も興味深かったです。

その他(私は聴けなかったですが)「カウンセリング」の分科会で、松浦基夫医師(堺市立総合医療センター・本誌17号に登場)らの「HIV陽性男性の「こころの健康」についてのアンケート調査」、東京都の保健局エイズ対策担当による「東京都エイズ専門相談員派遣制度における他支援機関等への紹介や連携のニーズと提供」など、支援の現場に密着した演題に関心が惹かれました。

シンポジウム

会場内では、「ゲイメンズコーラス」の企画もあり、地元のゲイらが「上を向いて歩こう」等を合唱しました。また、同じ中野区内で、「東京エイズウィークス2017」が、多くの人にHIV/AIDSへの関心を持ってもらう事、そしてHIV/AIDSにまつわる諸問題について様々な立場の人がいっしょに考える事を目的に、映画「BPM」の上映などサテライトイベントを繰り広げました。

学会は、本年(2018年)は、大阪で開催される予定です(白阪琢磨・国立病院機構大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター長が学会長)。東京まで行かずとも地元で、活動現場の豊富な情報が聴けるのが楽しみです。(大畑)

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