海外男街通信
アジアに広がるゲイネット・アジアのゲイ事情
11月24日〜26日に東京都中野区で開催された第31回日本エイズ学会・学術集会。ここでは「アジアのMSM※とHIV~国を超えた連携を模索する」というタイトルでシンポジウムが行われました。今回は、そのエッセンスをよりどころに、アジアの様子をお伝えします。日本からもたくさんのゲイ男性が台湾や中国、タイなどアジアの国々に行き、旅行や仕事で関わることも増えているので、お出かけの際には出会いを求めてみるのもありかも。
アジアが誇る出会い系アプリ「Blued」もシンポジストとして登場。中国を中心に、全世界で3,000万人の利用者を持っているそうです。ネットで検索すると「Blued」には出会い系の機能は似たような感じだけど、「メッセージや写真だけではなく、音声やビデオ交換も」可能で、趣味のサークルみたいな「グループ」を作る機能もあります。日本のアプリと同じように「Blued」には画像を掲載できるので、中国だけではなくタイやモンゴル、韓国の若者も利用が多く、旅先の出会いには必須のアイテムになっているとのこと。また、この「Blued」が鍵となって、中国政府がLGBTコミュニティを受け入れようとしているといった報道もあって、この辺の事情は日本よりはるかに進んだ印象を受けました。
「Blued」は、中国政府と連携してHIV検査の推進キャンペーンに参画し、新しいサービスとしてLive映像の発信や、GPS機能を使って、最寄りの検査施設を匿名で予約できるサービスもあるそうです。ゲイコミュニティに根差して、革新的な機能を使った福祉や性的健康(セクシュアルヘルス)増進の取り組みが今後も期待できそうです。
ちなみに台湾でもゲイ・バイセクシュアル男性の間でHIVの感染が増加しています。日本では毎年約1500人、新規感染の報告がありますが、台湾ではさらに多く、毎年約2,300人だそうです。そこで台湾では、唾液をつかった自己検査キット「オラクイック」が自販機で販売されているそうです。だいたい200台湾ドル(約750円)で、これまでに約2,300人が利用したそうです。またアジアにも大阪と同じように性病検査の取り組みもありました。ゲイ男性対象のHIV検査推進キャンペーン「TestXXX」。タイではじまり、香港、インドネシア、ベトナム、フィリピンまで広がり、国境を越えて、若者が身近なクリニックで性病検査を受けられるような取り組みになっているそうです。
日本でも台湾のゲイパレードに参加する人も多いと思いますが、モンゴルでも中国やロシア、韓国とのネットワークは活発になっていて、国境を越えてつきあったり、結婚したりとアジアのゲイ男性networkは広がっていると実感できるシンポジウムでした。これからアジアに行かれる方は、広がるネットワークに注目してみるのも、興味深いことかもしれません。
◉しおのさとし(MASH大阪)& ◉たかくみちこ(人間環境大学研究員)
東京中野サンプラザ などで開催された第31回日本エイズ学会学術集会・総会「未来へつなぐケアと予防」に参加してきました。アジアで展開される世界的な取り組みに触れてびっくりです。
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