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南界堂通信〈夏号|第39号〉

エイズ対策のキーパーソンたち

distaに新風を吹き込む
筋金入りのフリーランサー

Photographer YAMATOさん

ゲイカップルの写真展示や〈いくナビ〉の表紙写真で
お馴染みのYAMATOさんに突撃インタビュー!

Photographer YAMATOさん

MASH大阪(以下M):出身は?

YAMATO(以下Y):いわゆる紀南地方、和歌山県田辺市に生まれ育ちました。リゾートで有名な白浜の近くで、南方熊楠みなかたくまぐすの生家が近くにあります。 自然が好きだったので熊楠にはずっと親近感を抱いてました。

M:熊楠が男色の研究でも名を成したことは?

Y:いや、知りませんでした。ますます親近感がわきますねぇ(笑)。近くに彼の記念館があるので、今度行ってみようかな。

M:自分のセクシュアリティに気付いたのは?

Y:幼稚園のころはませた子供で、男の子同士で触りっこしてました。はっきりしたのは小学校6年のとき。家にパソコンが来て、自分以外に誰も使わないのでいじくってるうちにゲイのサイトを見つけ、「ワオッ!」ってなりました。掲示板で交流するうち、近所の浜がハッテン場だったってこと、だいぶ経ってから知ったりしました。

M:やっぱりマセガキだ!

Y:そう、そのせいで中学校ではイジメにあったりしましたが、高校は好きな男子ができたりと楽しく過ごしました。検定マニアで、いろいろ受けてたので、その流れでシステムエンジニアをめざそうと、京都の大学の経営学部に入学しました。大学時代、一念発起してゲイ専用のSNSに登録し、20歳のときに恋人ができました。でも一方で、自分は男の兄弟がいないから家を継がないといけないという気持ちもあり、一度だけ女性とおつきあいしようとしたこともありました。半年ほどデートしたりしましたが、何事もなく、かえってゲイであることを確信する機会となりました。「両親には申し訳ないけど、自分の人生を生きるしかない!」と。

M:エイズとの接点は?

Y4年前にHIVに感染してることがわかったんです。以前から、HIVに詳しいお医者さんがやってるクリニックに通っていたんですが、あるとき手にイボらしきものができて、先生が「免疫が落ちてるかもしれんな。HIVの検査しとこう」で、検査したら陽性。検査前からなんとなく「エイズは怖い」という感覚はあったし、セーファーセックスを心がけてはいたけれど、エイズのことはよくわかっていなかった。感染をきっかけにいろいろ学んで、無駄に恐怖心を抱いていたこともわかりましたね。

M:distaとのかかわりは?

Y:陽性とわかる前から、友だちに誘われて訪れてはいました。展覧会を観たりアウトリーチに参加したりしたこともあります。少し前から写真に興味を持つようになり、知りあいのゲイカップルの写真などを撮っていました。2019年の5月、アーティストの友人とのコラボ企画で、彼がホモエロティックな絵、僕がゲイカップルの写真を展示するグループ展を新世界でやったんです。その展覧会が、当時distaのスタッフだった方の目にとまり、翌月にはdistaで個展〈エル・ポートレイト〉を開くことになりました。翌年1月には、別のスタッフに頼まれてMASH大阪が定期発行している〈いくナビ〉の表紙の写真と取材を担当するようになり、次いで3月には同じくdistaで開催された〈LGBTQ ART LABO RATORY〉にも参加しました。

M:新世界でのグループ展をきっかけに一気に距離が縮まった感がありますが、それはHIV陽性とわかったことと関係してますか?

Y:いえ、関係ありません。陽性になったことをそれほど重く受けとめてるわけではないんです。むしろこれまで以上に活動領域が広がったなぁと。

M:〈いくナビ〉の表紙を見ると、登場する人物たちの活き活きした瞬間が見事にとらえられているなぁと…

Y〈いくナビ〉の写真、初めは前任者のスタイルを踏襲してましたが、少しずつ啓発資材らしからぬ、観る人が違和感を覚えるようなスタイルをめざすようになりました。僕はもともと組織に合わない人間で、組織にまつわる伝統・慣習をぶっ壊そうとするんです。最近、長く勤めていた会社を辞め、これからは「好きなことをフリーでやり、その合間に仕事をする」生き方を貫きたいと思ってます。

M:興味深いお話、どうもありがとうございました。南方熊楠の記念館、ぜひご一緒しましょう!

展覧会情報

YAMATOさんが撮り下ろした「いくナビ」のカバー写真。それらを集めた展覧会が、distaにて夏頃開催予定です。
詳しくは、distaのホームページをチェックしてください。

※写真は「いくナビvol.23」の表紙画像
「いくナビvol.23」の表紙画像

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