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南界堂通信〈夏号|第39号〉

男朋友

新世界には
いろんな人がいて当たり前…

通天閣のおひざもとで
焼き鳥屋を
営む長濱一美さんに突撃インタビュー!

MASH大阪(以下M):新世界でお店を開かれた経緯は?

長濱:観光地のイメージが強いかもしれませんがここは私が生まれ育った街なんです。「いつか地元で商売がしたいなぁ」という想いをずっと抱いていて、二年前にお店をオープンさせました。

M:二年前といえば最初の緊急事態宣言の頃ですね。

長濱:コロナ渦でのオープンになったので、ある意味どん底からのスタートにはなりましたが、「やるってなったからにはやるしかない!」「どん底から這い上がっていくのみ!」と気合を入れ、何とか二周年を迎えることができました。

M:実際にお店を開かれてみてどうですか?

長濱:この界隈にゲイバーが多いことは元々知っていたので、飲み屋に行く前のお食事処としてゲイの方々の利用もあるだろうなと想定はしていたのですが、それ以上に女装さんのお客様が多くて感謝しています。後から聞いた話ですが、「女装さんはちょっと…」と敬遠されるお店もあるらしくて、その話を聞いて正直驚きました。私はお客様を選びたくもないし、「多様性の時代やねんからどんな格好をしていようが誰でもウェルカムよ!」なんて言っている内に、女装コミュニティの間でうちのお店が話題に上るようになって、ありがたいことにどんどんお客様が増えていったんです。ツイッターでお店の情報発信もしているんですけど、それも女装さんからの提案で始めたんです。「もっとお店の情報が欲しい!」「やるならインスタではなくツイッターにしてね!」なんて催促されちゃって…(笑)

M:さすが人情深い下町育ちの心意気ですね。

長濱:実はね、子供の頃叔母の住んでいた文化住宅に女装の方が住んでいたんですよ。昼間はオッちゃんやけど、夕方時分になるとキレイに女装されて出かけて行くんです。たまに会うと気さくに話しかけてくれたりもして。
そんな環境で育ったこともあって、この街にはいろんな人がいてるのが当たり前やと思っています。昼間から酔っ払って街中のあちらこちらで寝ているオッちゃんは子供心に苦手やったけど…(笑)

 

M:子供の頃の新世界はどんな雰囲気でした?

長濱:とにかく賑わっていましたよ。通天閣も二階まではタダで上れたので子供にとっては格好の遊び場。毎日のように遊びに行ってました。私たちにとっては日常生活の中にある通天閣、あって当たり前って存在で、逆に観光地に住んでいるという印象は全く持っていませんでした。通天閣ってネオン看板が有名ですけど、一時間毎に時報が鳴るんですよ。子供の頃は街中に響き渡るくらい大きな音で鳴っていて、「時報が五回鳴ったら帰っておいでや!」って母によく言われました。新世界市場も当時はすごく盛況で、青果やお肉はもちろん、乾物からパンに至るまで、市場に行けば何でも揃いました。年末の買い出しなんて人が通れないくらいひしめき合っててね。ここ数年はすっかりシャッター通りになってしまって、昔の賑わいも想像できへんでしょ?! 地元で生きる人たちの生活臭が漂っていて、街全体が活気に満ち溢れていましたね。

M:ここ最近の新世界は?

長濱フェスティバルゲートやスパワールドができた頃から、街自体がめまぐるしく変わっていったように思います。観光地化すればするほど大きなお店は生き残り、ちっちゃな個人経営店がどんどんなくなってしまったのは本当にさみしいですね。もうすぐ星野リゾートもオープンするので、これでまた人の流れも変わるとは思うけど…

M:これからの新世界はどうあって欲しいですか?

長濱古き良き下町っぽい雰囲気はこれ以上なくなって欲しくはないかなぁ。どんな人でも気楽に来て、しかも飾らなくていいのがこの街の良さやと思うし、理想としては子供の頃の活気に溢れた賑わいを取り戻して欲しいかな。そのためにもお店を守りながら、「新世界のオカン」としてこれからも頑張っていきたいと思います。

M:貴重なお話、ありがとうございました。

UTO

住所:大阪市浪速区恵美須東1-15-1 盛隆ビル1階
ランチタイム:12:00〜14:30 / 居酒屋タイム:17:00〜
TEL:080-3818-9307
TwitterID:@mm_uto

UTO

ランチタイムはチキン南蛮定食やからあげ定食、居酒屋タイムは炭火でジューシーに焼き上げた焼き鳥が楽しめるUTOさん。「ツイッターのフォロワー、8割が女装さんやし、営業中はバタバタしてるから何も思わないけど、閉店後ふと振り返ったら女装さんしか来てないなぁなんて事もよくありますよ」。笑いながらそう語ってくれたのはお嬢さんの知美さん。製菓専門学校出身の知美さんお手製のスイーツが店頭に並ぶこともあるのでこちらもお楽しみ下さい。

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